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産業カウンセリング 心の健康から職場の繁栄へ

産業カウンセラーの鎌田千穂
業務改善&組織変革
チホズ スタジオ(Chi-ho's studio)です。

さて、本日のお話は100年に及ぶ歴史の中で3つの源流。
最後の精神衛生運動についてです。

世界各国で行われているカウンセリングには、いろいろな理論とそれに基づく技法があります。
営利目的で広がるものなど含めて、少なくとも40~50以上になるのではないでしょうか?
ですが、100年に及ぶ歴史の中で源流は3つしかありません。

3代源流については下記にリンクをどうぞ
 職業指導運動⇒こちらから
 教育測定運動⇒こちらから
 精神衛生運動⇒この記事

近年、枝葉の部分だけ取り上げ、独自性を主張し、時には心理を弄んでいるよねと感じるところもあります。
また、自社の取り組みこそが、王道で当然かのごとく、人権と命と歴史を軽んじるところにも心が痛くなります。
この記事では、産業カウンセリングの立ち位置と役割の違いが伝わると良いなと思います。

精神衛生運動は、ピアーズによって開始されました。
エール大学在学中、彼は兄の脳腫瘍での死を経て、自身も同様の病気にかかるのではないかという不安に悩まされたようです。

今でしたら、うつ症状と診断されたのではないでしょうか?

ですが当時はうつ症状についての名前もありません。
就職後の精神的なバランスを崩したことから妄想が現れる。
その後は自殺を試み、精神病院に入院させられ、三度の入院と転院のあいだ、彼は看護人からの過酷な扱いを受けつつも、かろうじて退院という経過を歩まれています。

その後、ビアーズは自らの体験記を出版し、世間の共感を呼び起こし、人々の関心を精神衛生に向けさせる運動を生み出しています。

 

1908年、ビアーズは有力者や心理学者、医療機関者の協力を得て、コネチカット州精神衛生協会を設立し、会長に就任。

1928年には全米精神衛生財団が設立。

1930年には第一回国際衛生会議が開催され、精神衛生運動は世界的な規模に広がりました。

初期の運動は患者の現状調査や改善に焦点を当てていましたが、後には予防や健康の保持向上を主張し、精神医学カウンセリングなどと統合され、現在のメンタルヘルス運動へと進化しています。

このカウンセリング分野を確立したのはロジャーズたちによる「来談者中心カウンセリング」です。

この理論の基本は、「人は自分を中心とする主観的な知覚の世界、すなわち「現象的な場」に生きており個人の行動は外界からの刺激によって規定されるのではなく、その個人の受け取り方や意味づけによって規定されています。

この理論では、産業カウンセラーとして呪文のように唱えられる「基本的態度」が最も大切であり、あらゆるカウンセリング理論の基本となっています。

① 受容的態度
  カウンセラーは、クライエントに対し無条件の肯定的関心を持つこと
② 共感的理解
  カウンセラーは、クライエントの内的世界を共感的に理解をすること
  そのことを相手に伝えること
③ 自己一致または誠実な態度
  カウンセラーのクライエントに対する関係作りの姿勢を整える
  心理的に安定し、ありのままの自分を受容していること

この理論を基に、ロジャーズ本人が残した貴重な映像から学ぶことも含めて、産業カウンセラー資格取得まで半年の訓練のよる研鑽です。

それ以外にも研鑽の場で実践経験を常に重ね、今でも実践と振り返り改めつつ、研鑽は終わりません。

現在、私は一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 九州支部 の認定カウンセラーとなり、更に活躍の場は広がり続けています。
 

1920年代、アメリカでは企業が従業員の職場適応のために援助の必要性を認識し、経済背景を基に人間関係の理論を導入。

1950年代後半には、アメリカからカウンセリングの理論と技法が導入され、日本では第二次世界大戦後にカウンセリングが導入。

1951年、戦後の民主化教育の一環として、アメリカ教育使節により持ち込まれ、1953年に東京大学にカウンセリングセンターが設置。

1954年に日本電信電話公社(現NTT)がメンタルヘルス対策の取り組み。

1968年に日本鋼管(現JFEスチール株式会社)にメンタルヘルス対策の産業カウンセリング制度が導入されています。
 

この流れに呼応し、企業の人事労務・福利厚生担当者や研究者らの動きも活発に。

1960年11月には「第一回カウンセリング全国研究集会」が立教大学で開催。
この集会で任意団体としての日本産業カウンセラー協会が設立されました。

産業カウンセリングは人の成長を促進し、メンタルヘルス不調者の早期発見、再発防止に対する企業の取り組みは、今も昔も人は変われども受け継がれています。

その歴史からもわかるように、現在までに全国に6万人を超える産業カウンセラーがいるのです。

そんな産業カウンセラーの役割へ理解を深められた皆さまこそが、「人が企業を育てている」という事に今一度深く向き合うことで、自社の取り組みも変容する時期とお気づきになられたのではないでしょうか?

気が付かれたら、次は行動しかありません。
自社の取り組みを見直し、働いている人たち自らが働き方と自分が会社を育てている一人。

企業とは何ぞや?
企業の中で自分の役割とは何ぞや?

という事に意識を向け、共に働く職員が教え育てる「教育」という考えから、共に育つ「共育」という環境を育みはじめる時代になりました。

そして、相互尊重のもと協力し合い育つ「協育」ということが組織に根付くこと。
個々の考えを知り、自立心を向上してゆく仕組み作りが必要不可欠だと考えています。

 

時代は大転換期と話をしていても、よくよく考えれば、今も昔も大変革の連続。

常に変動し続けているのですから、産業カウンセリングを通じて、利害関係がない状況から、論理的かつ客観的な対応はいつだって避けては通れません。

そのことから、企業と従業員の繁栄に取り組むことを通じて、その付加価値が人手不足解消であり、早期離職の対策ともなり得るのではないでしょうか。
 

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